法人の民事再生のメリットデメリットについて
債務整理会社経営をしている方は、業績が思わしくないとき将来についてどのような選択肢を迫られるのでしょうか。
どうしても倒産を避けたい場合、「民事再生」という方法で経営再建を目指す方法もあります。ここでは、民事再生のメリットとデメリットについてご紹介します。
Contents
民事再生とは
民事再生は、資金繰りがうまくいかず経営危機に直面している会社が、経営を続けたいときに弁護士を通じて経営再建を目指す手続きです。通常、民事再生に詳しい弁護士に依頼し、裁判所に介入してもらいながら手続きをすすめます。
倒産との違い
倒産は事業の立て直しをせず、会社をたたむことをいいます。事業の生産を希望している場合や、従業員への給与未払いが発生しているほど深刻な状況に陥った場合には倒産を視野に入れるといいかもしれません。
民事再生は、会社をたたむのではなく経営再建を図ることを目的としているので、倒産とは最終的なゴールが異なります。
会社更生法に基づく会社更生との違い
報道でよく聞く「会社更生」は、株式会社にのみ適用される制度で、主に大企業の経営再建を想定しています。その一方で、「民事再生」は中小企業をはじめ、株式会社以外の団体にも適用されます。
会社更生法による会社更生は、経営権は破産管財人が掌握し、完了するまでに年単位を要します。しかし、民事再生なら経営権は現経営陣が保持し、半年~1年で完了します。
民事再生のメリット
債務の弁済が困難な状況にある会社にとって、民事再生は大きなメリットがあります。
会社は存続する
経営を続けながら会社を立て直す手続きであり、会社をたたむわけではないので、事業を継続できます。従業員の雇用維持にもなり、取引先や顧客に迷惑をかけることもありません。
経営陣は退陣しなくていい
先述した通り、会社更生法では経営陣は退陣を余儀なくされますが、民事再生なら経営陣は退陣する必要がありません。
ただ、裁判所により監督委員が選任された場合、一部の重要事項においては監督委員の同意が必要となります。
手元資金を確保できる
民事再生を申し立てると、ただちに「弁済禁止の保全処分」がなされます。これは、裁判所から金融機関に通知されるもので、貸付があることを理由に債務者の口座にお金が振り込まれたとしても、引き落としができなくなります。
つまり、振り込まれたお金を債務の弁済財源として会社の立て直しができるようになります。
反対する債権者がいても強制力で決定できる。
民事再生の手続きでは、再生計画案を作成し裁判所に提出しなければなりませんが、その前に債権者の同意を得る必要があります。
この再生計画案が債権者に認められる条件として、債権者集会で出席議決権者の過半数の賛成かつ総議決権の過半数があればよいとされています。なお、倒産する場合は、すべての債権者の同意が必要となります。
民事再生のデメリット
民事再生をする上で知っておきたいデメリットもご紹介します。
社会的信用を失う
民事再生は経営再建を目指す手続きですが、法律上は倒産処理でもあるため、官報と帝国データバンクの倒産情報に掲載されます。
民事再生をした事実が外部に知られることで、経営が危ういと思われ、取引停止されたり、取引してもらえなかったりするおそれもあります。
民事再生するための資金が必要
会社が債務の弁済に困窮している状況にもかかわらず、民事再生するのにそれなりの資金が必要となります。というのも、民事再生の手続きは通常、弁護士に依頼しながら進めるので弁護士費用がかかる上に、裁判所に収入印紙や予納金を納める必要があるためです。
この費用の捻出ができない場合、民事再生自体が難しくなる可能性があります。
経営陣が残ることで反発にあうおそれがある
民事再生では、経営陣が退陣する必要がなくそのままの経営権を維持できる点がメリットとご紹介しましたが、これがデメリットになることがあります。
経営判断を誤った経営陣を残して経営再建はできないのではないかと、債権者に反発されてしまうのです。民事再生を申し立てる場合は、経営陣の人事についても検討しておく必要があると言えます。
民事再生を検討している方は弁護士にご相談を
法人の民事再生は、法律が絡む手続きなので、経営陣が単独で進めるのは極めて困難と言えます。民事再生は、裁判所への申し立てや財産目録・報告書・再生計画案の作成など、煩雑な法的手続きが多いのが特徴です。民事再生に詳しい弁護士に依頼すれば、通常の業務に支障をきたすことなく手続きを進めていけます。
数多くの民事再生をサポートしてきた弁護士なら、豊富な知識や経験を踏まえた適切なアドバイスができます。まずはお気軽にご相談ください。
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