破産するとボーナスや退職金に影響しますか?
その他自己破産によって影響を及ぼすのは
給与やボーナスの内
最低限の生活保障や経済再生のために必要であるされる部分を超える範囲
Contents
自己破産とはどのような手続きですか
自己破産は、全ての借金の返済義務を免除する代わりに、手持ちの財産の一部を換価して債権者に配当する手続きです。
手持ちの財産が全て取られてしまうのか。
そうはなりません。破産者の生活を保障しつつ経済的再生のために必要な財産をも手元に残しておく必要があるからです。
破産財団に属する財産と自由財産
破産財団とは、破産者の財産又は相続財産若しくは信託財産であって、破産手続において破産管財人にその管理及び処分をする権利が専属するものをいいます。
つまり、破産財団に属する財産となれば破産者は自由に財産を管理処分することは出来ないこととなります。
自然人の破産において、破産法上、当然に破産財団に属さない、自由財産となる財産(「本来的自由財産」)が存在します。
例えば、
②金銭以外に差押えが禁止された財産
民事執行法上の差押え禁止債権(民執152)
ア. 給料債権―税金等を控除した手取金額の4分の3相当部分(ただし、手取金額が44万円を超える場合には、33万円が差押禁止債権)
イ. 私人から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る請求権(扶養請求権民877、生命保険会社との年金契約に基づく継続的給付請求権等)―税金等を控除した手取り金額の4分の3相当部分
ウ. 退職金債権―税金等を控除した手取金額の4分の3相当部分
民事執行法上の差押禁止動産
ア. 債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用品、畳、建具
イ. 債務者等の1か月間の生活に必要な食料、燃料
ウ. 農業、漁業従事者の農機具、漁具等
エ. 技術者、職人、労務者等の器具等
特別法上の差押禁止債権
既に受領している給与
現金として保管しているのか、預貯金として保管しているのかで
取り扱いが異なる場合があります。
現金
既に受け取った給与を、現金で保管している場合には
破産者の生活保障や経済的再生のため、99万円以下の現金は破産者が自由に処分でき得る財産となります。
しかし、99万円を超える現金は、破産財団となり破産者が自由に処分することは出来なくなります。
預貯金
預貯金で給与を保管管理している場合
20万円以下を自由財産として手元に残すという取り扱いがされています。
最低限の生活に必要な範囲の目安である20万円程度は破産者の手元に残ることとなります。
しかし、生活に必要な範囲を超えている部分に関しては、破産財団に管理処分権が移行することになります。
したがって、破産者が自由に財産を処分することは出来なくなるという影響が生じることがあります。
破産手続きは、裁判所から選ばれた破産管財人が、破産者の財産を換価処分し、それによって得た金銭を各債権者に弁済または配当する手続きとなります。
破産手続きが開始されると破産者は自らの財産を自由に処分する権限を失います。
破産者の財産を処分する権限は、破産管財人に移ることになります。
この破産管財人によって管理処分されるべき財産を破産財団といいます。
破産財団はあくまで、換価処分すべき財産の集合体にすぎません
退職金の取り扱い
退職金は従業員の方への功労を労う性格のものであるとともに、
給与の後払い的性格を有しています。
退職金が給与の後払い的性格を有していることから、
退職金も給与と同様に資産として評価される場合があります。
東京地裁の取り扱い例を参考にしてみましょう。
退職金を既に受け取っている場合には、財産として扱われます。
先述したように、現金であれば99万円以下、預金の場合では20万円以下が生活に必要最低限な資産として、手元に残すことが保証されています。
将来的に直近で退職するような場合
退職金の4分の1程度が財産として扱われます。20万円を下回るようであれば自由財産として手元に残しておくことが出来る資産となります。
そもそも退職金がもらえるかわからないような場合
退職金は、必ずしも発生するものではありません。退職金は、支給条件が明確に規定されている等を除き、あくまで会社の温情的報酬という性格をも有しています。
そのため、退職金は、退職時に退職事由・金属年数などの諸条件に照らして初めて確定的に発生すると考えられています。
退職する前で退職金がもらえるかわからないような場合には、請求権として退職金をもらえる権利が未確定のため資産として取り扱われるわけではありません。
まとめ
破産が給与やボーナスに及ぼす影響をお伝えしてきました。
給与、ボーナスそして退職金は似ているようで、それぞれ異なる法的性格を有しています。
この法的性格の違いによって、裁判所の取り扱いが変わる場合もあります。
少しでも不安を感じたら、ご気軽に相談ください。
裁判所によって運用が異なるので、弁護士に相談することが肝要となります。
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