自己破産したら一生社長になれないのか?

自己破産をしてしまうと、一生社長になれないと思われている方もいますが、これは誤解であり、経営していた会社が破産した場合や、自己破産した後でも再度起業し社長になることは可能です。
しかし、さまざまな制限があるのも事実であり、会社を設立するには、いくつかのハードルを乗り越えなければなりません。今破産後に社長を目指すためにはどうしたら良いのかを確認していきましょう。
 

破産しても社長になれるのか

法律では会社と経営者個人は別々の人格であるという原則があるため、例え会社の業績が悪くなり、借金が支払えなくなったとしても、社長など経営者個人が責任を負うことはありません。
会社が破産しても経営者個人に対して責任を必要以上に問うことはできないのです。
しかし、連帯保証人や個人の資産を担保にしていた場合などは、責任を負ってしまうことがあります。
2005年まで運用されていた旧商法では、「自己破産をしたこと」とあり、取締役の欠格事由となっていました。そのため、自己破産をした経営者は再び社長になることができなかったのです。
しかし、この旧商法は会社法へと変わり、この項目もなくなったため、一度自己破産を経験していたとしても、再び社長など経営者になることができるようになったのです。
参考:取締役等の欠格条項の削除に伴う規律の整備についての検討
 

自己破産をすると制限を受ける職種はある

自己破産をしても社長になることは可能ですが、客の金銭を取り扱うものや許認可を受ける必要のある業種には制限を受けます。
例えば質屋や証券外務員、貸金業者が客の金銭を取り扱う業種として該当します。また、旅行業務取扱主任者や建設業などの許認可を得る必要のある事業も制限を受けます。
他にも、弁護士や公認会計士、税理士などの士業と呼ばれる資格が必要な業種の多くは制限を受けてしまいます。
しかし、中には保育士や介護福祉士、医師や看護師など制限を受けない業種も存在します。
公務員も一般的な職種であれば影響はありませんが、教育委員会や公正取引委員会の委員は制限を受けることがあります。
したがって、これらの職種に該当してしまった場合、自己破産をすると資格も失い仕事が続けられないのではないかと不安になってしまうかもしれません。しかし、制限は一時的なものであり、破産手続きの申立をしてから免責許可が下りるまでの間です。
おおよそこの期間は3ヶ月から半年ほどと言われており、一生資格を喪失するわけではありません。
 

会社設立は制限される?

自己破産の手続き中であっても、法律上取締役になることは何の問題もありません。
しかし、自己破産してしまうと、金融機関などのブラックリストに載ってしまうため、資金を借りたり、ローンを組んだりといったことができなくなります。
起業するには、開業資金や当面の資金が必要なことが多いですが、これらを自己資金として用意できない場合、新たに借金をすることが難しいため、結果として会社の設立が制限されることになるのです。
 

破産後に起業するには

自己破産後は新たな借り入れが難しくなりますが、それでも会社を設立したいと考える場合には、以下の方法があります。
 

自己資金を貯めてから起業する

必要な資金を自分でしっかり貯めてから起業するのは、時間もとてもかかりますが、お金を借入れる必要もないため確実です。元手にそこまで必要のない業種であれば、自己資金を貯めて再度チャレンジするのが良いでしょう。
 

会社代表を別の人に任せる

ブラックリストから抹消されるまで、自分以外の人に代表を任せることで借り入れることもできるため、資金面の問題をクリアできます。
 

公的支援を使う

自己破産後は原則借り入れできませんが、公的機関の融資制度ならば破産した人でも利用できるため、改めてチャレンジすることが可能です。
 

公的支援とは

自己破産者に対する公的支援はいくつか存在します。例えば日本政策金融公庫の再挑戦支援資金は、過去に自己破産した人や事業に失敗した人を対象に融資を行っています。
融資を受けるには条件がありますが、それらをクリアすれば限度額7,200万円(うち運転資金4,800万円)の融資を受けることが可能です。
この金額だけ見ると非常に高額を貸してくれるように思われるかもしれませんが、実際の平均貸付額は数百万円と言われています。
他にも、起業の発展を支援している信用保証協会は、公的な融資を受ける際に円滑に借り入れることができるよう債務保証をしてくれます。必ず借り入れができるわけではないものの、破産後でもこうした制度をうまく活用することで、新たに事業を始めることも可能です。
 

まとめ

会社法の適用によって、自己破産後でも新たに会社を設立し社長になることは可能になりました。しかし、一からまた始めようと思ってもさまざまな問題があるのもまた事実です。
そのため、破産後に会社を設立する場合には、慎重に進めていく必要があります。
もし、破産に関する手続きや公的支援に対して不明点があるのであれば、一度弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

その他のコラム

法人の民事再生のメリットデメリットについて

会社経営をしている方は、業績が思わしくないとき将来についてどのような選択肢を迫られるのでしょうか。 どうしても倒産を避けたい場合、「民事再生」という方法で経営再建を目指す方法もあります。ここでは、民事再生のメリットとデメリットについてご紹介します。   民事再生とは 民事再生は、資金繰りがうまくいかず経営危機に直面している会社が、経営を続けたいときに弁護士を通じて経営再建を目指す手続きです。通常、民事再生...

個人融資掲示板等で借金することのリスク

個人融資掲示板という、個人間でお金の貸し借りをしたい人を募集する掲示板があります。SNSでも「個人間融資」のハッシュタグでお金を必要としている人と融資したい人がそれぞれ募集をかけているのを見かけます。 お金を貸す側の人たちは「審査なし」「在籍確認なし」「即日振込」をアピールし、融資先を募っています。今すぐお金が必要な人にとってこうした審査の甘い借入先は魅力に感じるかもしれません。 確かに個人融資掲示板や個人間融資自...

信用情報に掲載される期間

クレジットカードの返済が滞ったり、債務整理をしたりすると信用情報機関に事故情報として登録されます。いわゆる「ブラックリストに載っている」状態です。 日常生活において目立った不便さを感じることはないものの、少なからず不便だと感じる場面があるかもしれません。 しかし、信用情報機関に登録された事故情報は、一定期間を過ぎるとその情報は抹消されます。   任意整理は5年、個人再生、自己破産は5~10年 個人の...

債務の時効援用とその手続きについて

一定期間返済していない借金は、時効によって帳消しできることがあります。ただし、必要な要件を満たし、なおかつ、「借金は時効により消滅した」と債権者に主張しなければなりません。これを時効の援用といいます。ここでは、時効の援用に必要な手続きについて説明します。   時効の援用には手続きが必要 時効の援用は、借金を一定期間返済しなかった人が、「時効を迎えたことで返済の必要はなくなった」と債権者に意思表示することです。 ...

裁判所からの通知を無視すると生じるリスクについて

債権者が、裁判所を通じて取り立てる手段として、支払督促申立と通常民事訴訟の方法が考えられます。 しかし、ほとんどの債権者(特に貸金業者)は、支払督促申立を行います。民事訴訟は、原告(債権者)の主張だけでなく、被告(債務者)の主張も聞いて判決しなければなりません。一方、支払督促では、債権者の申立内容のみを審査して判断することになるので、時間と費用がかからず、債権者としてはメリットが大きい手段です。 そこで、債権者から支払督促...

相談は何度でも!相場よりも良心的な費用!