債務整理は自分でできるのか

債務整理を弁護士に頼まず、自分ですることは可能でしょうか。答えは「可能です」。しかし、自分で債務整理をするにはデメリットが大きいため、おすすめはできません。弁護士に依頼した方が債権者も債務者もほとんどストレスなく債務整理ができるためです。

とはいえ「借金を返すお金もないのに、弁護士に依頼するお金なんてない」とお考えの方もいるかもしれません。それでも債務整理を自分でするより弁護士に任せた方がいい理由をご紹介します。

Contents

債務整理を弁護士に任せるメリット

債務整理の中でも、裁判所を通さず尚且つ費用を抑えられる任意整理をすることとなります。貸金業者との交渉次第で遅延損害金や利息の減額をしてもらえる可能性があります。この任意整理を弁護士に任せることで、次のようなメリットがあります。

①貸金業者からの取り立てが止まる

弁護士は、債務者から債務整理の依頼を受けると、貸金業者に対して依頼を受けたことを通知する「受任通知」を発送します。受任通知には法的効果があり、受け取った貸金業者は債務者に対して電話や訪問などによる弁済の要求ができなくなります。

さまざまな方法で弁済を迫る貸金業者に疲弊する債務者は少なくありません。この取り立てが止まるだけでも精神的な負担は軽減されるはずです。

②貸金業者と対等な交渉ができる

貸金業者は任意整理の交渉に慣れています。一方、債務者側は交渉事には不慣れな初心者です。債務整理について詳しく勉強したとしても、プロを相手に対等な交渉を進めることは極めて困難と言えます。

債務整理を多く取り扱ってきた弁護士は、貸金業者を相手に対等な交渉ができます。何よりも弁護士は交渉のプロであり、素人の方以上に柔軟な交渉ができる点でも安心して任せられます。

債務整理を自分でするのは大変

冒頭でも述べた通り、債務整理を自分ですることは金銭的な負担こそ少ないものの、債務者本人が精神的に大きな負担となります。

①債務整理について一から勉強しなければならない

任意整理の一連の手続きは非常に煩雑で、仕事の合間に交渉や手続きに必要な知識を学ばなければなりません。法律の専門家や貸金業者を相手に対等に話し合えるくらい勉強するには、相当な時間を要します。仕事の合間や休日にすべて一人でこなすのはとても大変です。

また、任意整理にかかる書類や資料は煩雑で、法律に詳しくない人にとってはすべてを難しいと感じるものです。任意整理に必要な資料を作成したり、一通り読み込んで理解したりするのにとても時間がかかります。間違った理解をする恐れもあり、法律の専門家でなければすべてを正確に把握するのは困難です。

弁護士に任せれば、プライベートの時間を割かれることなく、手続きが完了するまですべてお任せできるので、大量の時間を割いてまで任意整理をする必要がなくなります。

③そもそも交渉に応じてもらえないこともある

先ほど、「対等な交渉ができない」と紹介しましたが、任意整理の交渉はあくまで任意なので、こちらから交渉を希望したとしても貸金業者がそれに応じる義務はありません。中には「弁護士を通してください」と門前払いにするところもあります。

というのも、法律に詳しくない人を相手に交渉を進めること貸金業者にとっても時間と手間がかかるためです。素人との交渉は感情論に発展することもあり、建設的な話し合いができないと考える業者もあるので、素人の方が直接交渉するのはやはり難しいのが現実です。

④悪条件で和解させられることもある

交渉が進み、和解できたとしてもそれが債務者にとって有利な内容で解決できたとは限りません。貸金業者も、自分たちにとって都合の悪いことは債務者に伝えませんし、債務者にとって有利になる提案もしません。債務者にとって納得のいく結果になるという保証がないのです。

債務整理の知識や経験が豊富な弁護士なら、債務者にとってベストの解決方法を提案できます。自分で交渉するより良い条件で和解できる可能性が十分にあります。

債務整理を自分ですると、この一連の流れをすべて一人で行うのは本当に大変です。その間も、貸金業者からの取り立てが続くことを考えると、やはり一人で行うには負担が大きすぎると言わざるを得ません。

お金がなくても弁護士に依頼するには

弁護士に払うお金がなく、自分で任意整理もできないとなると「じゃあどうすればいいんだ」と思われるかもしれません。そこで、次の方法で弁護士費用を用意することをおすすめします。

分割払い・後払いを利用する
弁護士は、債務整理を依頼する方が金銭的に苦しいことを理解しています。そのため、債務整理を依頼する方にはいきなり弁護士費用を払ってもらうのではなく、分割払いや後払いといった方法で任意整理を進めることもできます。

弁護士に依頼して取り立てをストップしてもらう
先述した通り、弁護士に任意整理を依頼すれば貸金業者からの取り立てがストップします。それまで返済に充てていたお金を弁護士費用として支払えます。

たとえお金がなくても、債務整理を弁護士に依頼した方が煩雑な手続きや厳しい取り立てに悩まされることはなくなります。自分でもできないことはありませんが、一人で進めるには限界があるので、まずは債務整理に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

その他のコラム

住宅資金特別条項について

マイホームを所有している人が債務整理をする場合、マイホームを手放すことになるのでしょうか?借金を返すお金がない以上、最大の財産であるマイホームを売却してお金を用意し返済しなくてはいけないのだろうかと思われるかもしれません。 しかし、「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」の適用を受ければ、マイホームを手元に残したまま個人再生の手続きができます。ここでは、住宅資金特別条項について詳しくご紹介します。   住宅資...

自動車税を滞納するリスク

毎年5月になると、車を保有している人には自動車税の納付通知書が届きます。この自動車税を滞納するとどのようなことが起こるかご存じですか?督促状が届くことはもちろん、長期間滞納すると差し押さえなどのペナルティが発生します。自動車税を滞納するとどのようなことが起こるのか、順を追って詳しくご紹介します。   車検を受けられなくなる 車検を受けるには、自動車税の「納税証明書」の提示が求められます。ただ、平成27年からは、...

受任通知の内容と効果

(1)受任通知の内容 受任通知には、以下の内容が記載されます。 ①債務者の代理人であること ②債務整理の受任をした旨 ③債務者の特定(氏名・生年月日・住所など) どの債務整理の手続をとることになっても、①~③を記載します。①②については、下記(2)記載の受任通知の効果と関係してきます。②では、債務整理をすることに至った理由を簡単に説明したり、債権者数や債務額を記載することがあります(おおよそがわかっていたら、おお...

ブラックリストとは(信用情報機関)

ブラックリストとは ブラックリストとは、「信用情報に自己情報として登録されている状態」のことを、いわゆる「ブラックリストに載っている」というように巷では表現しています。 ブラックリストは実際に名簿やデータベースとして存在しているものではありません。 ブラックリストの正体は、債務整理を利用したり、クレジットカードや奨学金の支払いが一定期間滞った時に、信用情報に事故情報が登録されている状態のことを言います。   ...

債務整理中に新たな借り入れをするのは

(1)債務整理中とは 債務整理には、①任意整理②個人再生③自己破産があります(※1)。どの手続きをとっても、弁護士に依頼をすると、必ず弁護士から債権者へ受任通知(※2)を発送します。よって、債務整理中とは、①②については受任通知発送0借金の返済終了までをいい、③については裁判所から認められる時点(例:免責決定時)をいいます。   (2)ブラックリストについて 受任通知を受け取った債権者(金融機関等)は、いわ...

相談は何度でも!相場よりも良心的な費用!