自己破産

自己破産とは

自己破産とは、自身の債務が支払不能の状態にあるときに、裁判所に申立てをして、自由財産を除く資産をお金に替え、債権者に平等に分配する手続きをいいます。破産手続に続いて、免責手続に進みますので、免責許可となれば、一部の非免責債権を除き、全ての借金が免除(つまりもう払わなくても良い状態)になります。
つまりは、とりあえず自身の資産を全て差し出して、それを債権者に平等に分配してもらい、それでも残った借金は免除してもらうというものです。
自身の資産を全て差し出すことが条件なので、たとえば、破産前に資産を隠してしまったり(たとえば親族の名義にかえてしまう)、どうせ財産をとられるなら破産をする前にぱーっと使っとこうとギャンブルや飲食などに派手に消費したりということは許されませんので注意してください。

自己破産のメリット

自己破産のメリットはなんと言ってもこれに尽きるでしょう(正確には破産そのものではなく、その後に行われる免責手続によるものですが)。

  • ・原則として全ての借金が免除になり、支払いの必要性がなくなる

なお、ごくごくまれに免責不許可、つまり、借金を免除しないとされることもあります。
たとえば前回破産をして免責を得た(借金免除になった)のに、わずか1年でまた破産をして免責してもらおうとしてもさすがにそんな都合良くはいきません。
ただ、現状、免責不許可になるケースはあまりにも常識はずれな場合に限定されています。ほとんどのケースでは免責許可となりますので、そんなに心配する必要はありません(たとえばギャンブルで数百万円の借金を作ってしまったというケースでも免責されています)。

自己破産のデメリット

自己破産のデメリットには大小様々なものがあります。

  • ・一部の財産(自由財産)を除き、全ての財産を失うことになる
  • ・信用情報機関に破産をしたことが登録され、10年間は新しくお金を借りたりクレジットカードを作ったりといったことが難しくなる
  • ・官報に破産をしたことが掲載される
  • ・破産手続中は資格制限があり、警備員や生命保険の募集人など、一部の職種に制限がある
  • ・正式な破産手続をする場合には、破産管財人がつき、破産管財人のところに郵便物が転送される。破産管財人から破産者のところに郵便物が戻される場合には、「管財人転送」というスタンプが押されるので同居している人に破産をしたことがバレる可能性がある
  • ・破産手続中は、旅行や転居に制限があり、事前に裁判所の許可が必要になる
  • ・保証人の支払義務までは免除にならないので、保証人がいる場合には保証人に請求がいってしまう

とくに大きいデメリットとすると、財産を失うことですが、自由財産と言って手元に残しておける財産もあります。
たとえば、不動産なんかはさすがに維持するのは難しいと言わざるを得ないのですが、自由財産の範囲はかなり広いです。
テレビやパソコンも含めて家財道具なんかはほとんどとられません(高額なものはもちろん別です)。99万円までの現金も手元に残せたりします。
破産をする人というのは、自分の財産を手元に残すことなんて考えず、とにかく支払いをがんばってきたという人のほうが多いです。そのため、裁判所によって運用も違うのですが、まったく財産を失わずに破産をして借金が免除になるケースも多いです。

自己破産の流れ

自己破産は通常以下のような流れで進みます。

・弁護士に依頼をしたら、全債権者(個人の借入れを含む)への返済をストップ。返済をストップしても貸金業者からの督促は弁護士にくるだけで、依頼者本人にはきません

・弁護士から指示された書類を収集、弁護士費用を分割で支払う

・書類がそろったら弁護士が裁判所に破産申立て

・破産管財人が選任されるので、依頼をした弁護士と一緒に破産管財人の事務所に趣き、管財人からの質問に答える(なお、資産もとくになく免責不許可事由もない場合には同時廃止といって、管財人がつけられない簡易な手続きになることもあります)

・破産管財人によっては毎月の家計簿をつけるように指示されたりするので、数カ月間、管財人の指示に従う

・破産申立てをしてから数カ月後、裁判所で債権者集会が行われるので弁護士と一緒に裁判所にいきます。破産管財人がやるべきことがすべて終わっていたら、これで破産続は終了です。あとは裁判官が免責、つまり、借金をすべて免除するかどうかを判断します。

自己破産を検討するべき場合

自己破産には大きなデメリットもありますので、自己破産をするかどうかは弁護士に相談してから検討すべきです。

  • ・任意整理ではとても返済できない場合
  • ・債務総額が大きすぎる場合

なお、たとえば現在無職で一時的に収入がないという場合には、就職をした場合の収入がどれくらいになるかの見込みを考慮し、どの債務整理をするのか検討するべきです。

破産は恥ではない、法は死んでも借金を返すことなんて求めていない

破産というのはそんな特別なものではりません。古いデータですが、2002年には25万件もの破産がありました。
人間が経済活動を行う上で、リスクを負うというのはやむを得ないことです。誰もが破産をせず、安定した経済活動を営めればよいのですが、現実はそう簡単ではありません。
弁護士というと、世間では安定したイメージを持たれがちですが、オフィスの賃料や事務職員への給与などを払っており、一歩間違えれば破産ということも十分にありえます。

借金を払っていけない、という事態は社会の仕組み上一定数発生することは防げないのです。

中には生活苦から借金をせざるを得なくなったという人も多数います。
もう借金を払っていけないという状態になったとき、法はその人が死んでも返せなんてことは求めていません。
がんばってきたけど、もう無理だとなったら、もちろん財産を全て手元に残したままなんてことは許されませんが、財産を清算さえすれば借金を免除しましょうというのが社会の仕組みなのです。
破産は恥ではありません。経済的にどうしようもならなくなることなんていくらでもあります。みんなが経済的に豊かに暮らせるような、そんな社会はありません。一定数破産しなきゃいけないような人が出るのは社会の仕組み上当然なのです。
破産はただ、人生の再スタートをきるための儀式にすぎません。

自己破産を検討しているときは弁護士にご相談を

自己破産にはそれなりにデメリットもありますので、まずは弁護士にご相談ください。
アウル東京法律事務所では、弁護士による初回無料相談を実施しておりますので安心してご相談ください。

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