民事再生(企業)

民事再生とは

民事再生とは、倒産の一種で、再建型の手続きです。

簡単にいうと、会社は営業を続け、債権者に対して、借金の一部免除を求める手続きです。

  • 債権者のほうとしては、だされた再生計画案を吟味し(債権の何%がカットされるのか、本当にそのような再生計画が実現可能かなど)、賛否を投じますが、債権者の頭数で過半数の人が同意し、かつ、債権額の過半数の賛成が得られた場合に再生計画は可決されることになります。
  • 私的整理とは違って、対象になる債権者は全債権者になりますし、非公開で行うことはできないので、倒産したことが報道されます。

ただ、景気の動向ゆえか、準則型私的整理手続きの充実のゆえか(おそらく両方です)、民事再生が申し立てられるケースは少なくなっています。平成21年に659件民事再生の申立てがあったのに対して、平成30年にはわずか114件でした。

民事再生をすると、現株主はどうなるか

民事再生では、株主は必ずしも責任をとらなければならない、とはなっていません。
そのため、現在の株主構成はなにもいじらずに債務だけ減額してもらうということも不可能ではありません。
とくに、スポンサーも現れないような中小企業が民事再生をする場合には、こうならざるを得ないケースがあります。

ただ、問題はそれで債権者が納得するかどうかです。債権者はとくに理由なく、再生計画に反対しても良いのです。

株主はなんら責任をとらないのに、債権者だけが損をするということに、債権者側とすると大いに抵抗感を感じることでしょう。
中小企業でも規模が大きめの企業や大企業であればスポンサーが見つかる可能性が高いので、とくにそうでしょう。

ちなみに、上場企業が民事再生の申立てをすると、民事再生=100%減資(株式がすべてなくなる)というわけではないかことから株主の方が混乱することもあるでしょう。

  • 上場企業であれば、基本的に株主が責任をとらなくても良いというケースは通常ないでしょう。99%減資という方法などもありますが(JAL倒産のときに99%減資にして株主の権利をちょっこり残そうという方法も提唱されましたが、結局、100%減資でした)、上場株式であれば、倒産した時点で民事再生だろうが会社更生だろうが、株式はもう無価値になるものと覚悟したほうが良いです。

民事再生をすると、現経営陣はどうなるか

民事再生をした場合、現経営陣の退陣は絶対にしなければならないものではありません。

ただ問題は、債権者がそれを許すかどうかです。

現経営陣は、倒産の状況を作ってしまった以上、信用を失ってしまっているケースが多いです。
中小企業などで、現経営陣の人脈などが重要な企業では、現経営陣がそのまま残留するケースも多いです。ただ、その場合はその場合で従前と同様の役員報酬とするのではなく、役員報酬の大幅減額などで責任をとる姿勢を求められる可能性が高いです。

民事再生のメリット

  • ・反対する債権者がいたとしても、認可がされれば強制的に債権はカットされる
  • ・企業を消滅させる破産ではなく、企業を再建する手続き

民事再生のデメリット

  • ・倒産したと報道されるのでブランド価値が大きく低下する
  • ・取引先も巻き込むことになるので、業態によっては経営継続できなくなる
  • ・債権者の頭数で過半数、かつ、債権額でも過半数の賛成が得られないと成立しない

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