会社更生とは
会社更生とは再建型の倒産手続きの一種です。
民事再生とどう違うのか、以下説明していきます。
なお、民事再生もそもそも件数が少ないです、会社更生はもっと少ないです。
平成21年には会社更生の申立てが36件でしたが、平成30年にはわずか4件でした。全国の裁判所でわずか4件です。
民事再生よりも予納金が高い
予納金というのは、民事再生や会社更生を利用するにあたって裁判所におさめなければいけない費用です。予納金がないと、そもそも、こういった手続きを利用できません。
- 裁判所にもよりますが、民事再生の予納金は200万円~に対して、会社更生は予納金が2000万円~と文字通り桁が一つ違います。上場企業の会社更生なら3000万円~です。
このように、予納金一つとっても会社更生が大企業向けということがおわかりいただけるでしょう。
現経営陣が退陣するのが原則
民事再生の場合にはただちに経営陣は退陣となりません(もちろん、再生計画によって対人することも多々ありますが)。
- これに対して、会社更生の場合には、原則として経営陣は経営権や財産の管理処分権限を失い、裁判所が専任する管財人に権限が移ります。
経営陣が信用を失っている場合にはこれで問題ないでしょうが、これでは不便だという声もあったことで、現経営陣はそのままに会社更生をすすめていく方法も近時採用されることがあります。
担保権実行の禁止
民事再生では、担保権者は、民事再生が開始されようが自由に担保権を実行できるのが原則です(もっとも、一時的に停止させることは可能ですが)。
たとえば抵当権者は、民事再生なんて知ったこっちゃないということで、その会社の所有している不動産(本社が入っていても)を競売にかけることができます。
これに対して、会社更生では、会社更生手続外での担保権実行は禁止されます。
もちろん、民事再生でもこのような担保権者と担保権を実行しないよう協定をすることは可能ですが、担保権者が多数の場合や担保権者が非協力的な場合には、会社更生を検討することになるでしょう。
未払いの税金や未払いの退職金についての対処
民事再生では、再生手続きによらないで、税金や給与、退職金も払われることになります。もちろん、滞納しているなら強制執行や滞納処分を受けることになるでしょう。
これに対して、会社更生では、一部の税金や給与を除き、滞納処分や強制執行が禁止されます。
したがって、多額の税金や、多額の退職金の未払いがある場合には会社更生を検討する必要があるでしょう。
組織再編が可能
民事再生でも合併や会社分割などの会社の組織再編は行なえますが、これは株主総会決議などで行う必要があります。
これに対して、会社更生では、更生計画で定める方法によって組織再編を行うことができます。
そのため、株主と経営陣とで、組織再編について対立が生じている場合には会社更生を検討する必要があるでしょう。
まとめ
このように会社更生は上場企業などの大企業向けですので、通常は私的整理か民事再生から検討するのが良いでしょう。