任意整理で借金が減額される理由とは

任意整理すると借金の返済に困った人が、貸金業者と交渉して利息を減額してもらうか、あるいは免除してもらえます。

そう聞くと、「本来払わなければいけないはずの借金をなぜ減額できるのか」と思われるかもしれません。そこで今回は、任意整理することで借金が減額できる理由ついてご紹介します。
 

Contents

将来利息をカットすることで減額される

「借金が減る」といっても、元本自体が減るのではなく将来支払う利息をカットしてもらうことで借金を減らすよう調整します。「今後は利息なしで返済していきたい」と交渉するのです。

貸金業者はお金を借りた人から利息を取ることで利益を上げています。そして、利息は借金が完済するまで発生しつづけます。つまり、たとえ返済中に貸金業差から借金をしていなかったとしても、過去の借金を返済しつづけている限りは利息が発生している状態です。

「利息しか減らないのか」と落胆されるかもしれませんが、利息を侮ってはいけません。

例えば、50万円を利率18%で借り、月1万円ずつ返済すると、完済までに約7年半かかり、支払総額は90万円になります。返済額のおよそ半分が利息分ということになるのです。

そう考えると、年18%の利息といえども、決してバカにできる金額ではないことがおわかりいただけるでしょう。利息の支払いが免除または減額されるだけでも、返済時の負担は大きく軽減されます。

なお、利息だけでなく元本も減額してもらえれば返済額は下がりますが、それだと貸金業者が完全な赤字となるので、これに応じる貸金業者はほとんどいないのが現実です。
 

貸金業者が任意整理の交渉に応じる理由

借金をした人は、買い資金業者に対して元本にプラスして金利を払わなければなりません。そしてその金利が貸金業者にとって営業利益になります。

ところが、その金利を任意整理により減額、あるいは免除することは貸金業者にとっては不利益なはずなのに、なぜ交渉に応じてくれるのか不思議に思われる方もいらっしゃるでしょう。

任意整理が難しい場合、個人再生、自己破産などの裁判所を通じた手続きにより債務整理が行われます。個人再生すると借主は借金を大幅に圧縮され、自己破産にいたっては免責許可を受ければ返済不要となります。そうなると貸金業者に返済される元本はゼロまたはかなり減額されてしまうため、赤字になることをおそれて任意整理の交渉に応じてくれるのです。

貸金業者としては「利益が出ないのは痛手だが、元本が戻ってこないよりはマシ。元本さえ手元に戻ってくれば利息ははらわなくてもいいから」と考えるので、任意整理に応じています。
 

任意整理のメリット

任意整理のメリットを見ていきましょう。
 

手続きが簡単

裁判所を通して行う個人再生や自己破産とは異なり、任意整理は裁判所を通さず貸金業者との私的に交渉をすすめるので、法律で定められたルールは特にありません。なお、任意整理は自分でできないこともありませんが、貸金業者と対等な交渉をするためにも、債務整理に詳しい弁護士に依頼し、手続きを任せたほうがいいでしょう。
 

借金の催促がストップする

任意整理を弁護士に依頼すると、弁護士は貸金業者に対して「受任通知」をします。法律上、これをうけとった債権者(貸金業者)は、借金の催促をしてはいけないことになっているので、これがストップすれば対応に時間がとられることなく、精神的な負担もすくなくなります。
 

月々の返済額が減額される

先述した通り、将来利息がカットされ、長期的な分割払いにしてもらうことで、月々の返済額が減額されます。生活が苦しくなるほど、月々の返済に追われていた人にとってはかなり大きなメリットと言えるでしょう。
 

任意整理のデメリット

個人再生や自己破産よりも圧倒的に任意整理のデメリットは少ないのですが、それでも知っておくべきデメリットをご紹介します。
 

信用情報に登録される

個人の信用情報を管理している信用情報機関に登録されます。これにより、新たにクレジットカードをつくったり、ローンを組んだりすることは基本的にできなくなります。携帯電話の分割払いの申し込みや子どもの奨学金の保証人になることもできなくなるでしょう。

こう聞くと「任意整理なんてしない方がいい」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、返済が数回滞っても事故情報として登録されるので、どちらにしても掲載されるのであれば任意整理した方が得策であると言えます。

なお、事故情報は一定期間を経過すれば信用情報は抹消され、抹消後はローンを組んだりクレジットカードを作成したりできるようになります。
 

任意整理をお考えなら弁護士にご相談を

任意整理で借金が減額される理由についてご紹介しました。
任意整理は、裁判所を通さず貸金業者と借金をした人と私的な話し合いですが、個人が貸金業者相手に交渉するのは難しいのが現実です。場合によっては、貸金業者が「任意整理をするなら弁護士を通してください」と交渉を拒否するところもあります。

数多くの債務整理に携わった弁護士が、依頼者に代わって貸金業者と対等な交渉ができます。依頼者の方にとってより有利な結果になるよう、弁護士が尽力しますので、まずはお気軽にご相談ください。

その他のコラム

個人融資掲示板等で借金することのリスク

個人融資掲示板という、個人間でお金の貸し借りをしたい人を募集する掲示板があります。SNSでも「個人間融資」のハッシュタグでお金を必要としている人と融資したい人がそれぞれ募集をかけているのを見かけます。 お金を貸す側の人たちは「審査なし」「在籍確認なし」「即日振込」をアピールし、融資先を募っています。今すぐお金が必要な人にとってこうした審査の甘い借入先は魅力に感じるかもしれません。 確かに個人融資掲示板や個人間融資自...

自己破産したら一生社長になれないのか?

自己破産をしてしまうと、一生社長になれないと思われている方もいますが、これは誤解であり、経営していた会社が破産した場合や、自己破産した後でも再度起業し社長になることは可能です。 しかし、さまざまな制限があるのも事実であり、会社を設立するには、いくつかのハードルを乗り越えなければなりません。今破産後に社長を目指すためにはどうしたら良いのかを確認していきましょう。   破産しても社長になれるのか 法律では会社と経...

受任通知の内容と効果

(1)受任通知の内容 受任通知には、以下の内容が記載されます。 ①債務者の代理人であること ②債務整理の受任をした旨 ③債務者の特定(氏名・生年月日・住所など) どの債務整理の手続をとることになっても、①~③を記載します。①②については、下記(2)記載の受任通知の効果と関係してきます。②では、債務整理をすることに至った理由を簡単に説明したり、債権者数や債務額を記載することがあります(おおよそがわかっていたら、おお...

債務整理は自分でできるのか

債務整理を弁護士に頼まず、自分ですることは可能でしょうか。答えは「可能です」。しかし、自分で債務整理をするにはデメリットが大きいため、おすすめはできません。弁護士に依頼した方が債権者も債務者もほとんどストレスなく債務整理ができるためです。 とはいえ「借金を返すお金もないのに、弁護士に依頼するお金なんてない」とお考えの方もいるかもしれません。それでも債務整理を自分でするより弁護士に任せた方がいい理由をご紹介します。 ...

2回目の債務整理はできますか?

クレジットカードや銀行のローンなど、返済が苦しくなった時に債務整理をした経験がある人もいるでしょう。しかし、その後にまた借金をしてしまった場合、再度返済に悩んでしまう人も少なくありません。 2回目の債務整理はできるのか、気になる人も多いでしょう。 そこで、2回目でも債務整理が可能なのか解説していくとともに、その条件やスムーズに行うためのポイントを解説します。   債務整理は2回目もできるの? 債務整理を1回...

相談は何度でも!相場よりも良心的な費用!