自動車税を滞納するリスク
その他毎年5月になると、車を保有している人には自動車税の納付通知書が届きます。この自動車税を滞納するとどのようなことが起こるかご存じですか?督促状が届くことはもちろん、長期間滞納すると差し押さえなどのペナルティが発生します。自動車税を滞納するとどのようなことが起こるのか、順を追って詳しくご紹介します。
Contents
車検を受けられなくなる
車検を受けるには、自動車税の「納税証明書」の提示が求められます。ただ、平成27年からは、運輸支局・自動車検査登録事務所にて納税確認を電子的に行えるようになったので、延滞金や未納がなければ納税証明書がなくても車検が受けられるようになりました。
これはあくまで納付している人が不要であり、未納や延滞金が発生している人は納税確認ができない以上、車検を受けることはできません。
なお、車検を受けていない車が公道を走行すると、6点の交通違反が加算されるだけでなく、道路運送車両法に違反により6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。
延滞金がかかる
納付期限時点で自動車税を納付しなければ、翌日から日数に応じた延滞金が発生します。
延滞金の利率は納付期限の翌日から1か月を経過する日までの期間の利率は2.60%、1か月を超えた日以降の期間は8.90%となります。ただ、延滞金は1000円を超えなければ支払う必要はありません。延滞期間が長期に及ぶとあっという間に1000円を超えてしまうので、滞納に気づいたら速やかに納付しましょう。
督促状、最終通告書が届き、差し押さえのリスクも
納付期限から20日から1か月後くらい経過すると督促状が届きます。
これを無視して指定の期日までに納付しなければ財産や給料を差し押さえる催告書が届きます。ここで期限までに支払わなければ差し押さえの可能性がある旨が書かれてあります。
さらに催告書を無視すると「差押予告通知書」が届きます。いわば最後通告書のようなもので、指定の期日までに納付するか、役所の担当窓口に問い合わせをしなければ、差し押さえが実行されます。
そして、本格的に差し押さえられる前にも「差し押さえ調書(謄本)」が届き、いつ、何を差し押さえるのかがここで通知されます。
まずは預金口座から差し押さえられますが、残高不足により差し押さえができなかった場合は給料が差し押さえられます。このとき、1回で差し引かれる金額は税金等を控除した手取り額の4分の1までと決められています。生活に支障がない程度にするよう配慮したもので、滞納額が全額支払われるまで毎月差し押さえが続きます。
なお、勤務先に「債権差し押さえ通知書」が届くので、自動車税を滞納している事実は職場に確実にバレてしまいます。
給料を差し押さえられたからといって解雇されることはなくても、少なくともその職場で居心地が悪くなる可能性が高いでしょう。
給料を差し押さえができなければ車を差し押さえられる
給料の差し押さえができなかった場合、自動車を差し押さえられます。通常なら、自動車の所有者と話し合いをすることもありますが、悪質だと判断された場合は残念ながら車を差し押さえられ、使用できなくなります。
具体的には、盗難防止用に使用される「タイヤロック」をかけられ、走行を不可能にする方法と、差し押さえたことを示す「財産差押公示書」を運転席側のドアに張り付け、ビニールテープでドアを開けないように「ミラーズノック」があります。
どちらも車の所有者が立ち会いの基で行われることがほとんどですが、所有者が立ち会いを拒否した場合、警察官が立ち会うこともあるようです。なお、タイヤロックもミラーズノックも許可なく破損すると刑法の処罰対象になります。
延滞後の納付方法
自動車税を延滞しなければ金融機関の窓口やコンビニ、クレジットカードでの支払いが可能です。ただ、延滞してしまうとクレジットカードでの支払いは不可能となります。さらに延滞金が発生している場合、納付額が増えている場合は5月に届いた納付書は使用できなくなるので、税務署自治体の担当窓口に相談し、支払い方法を話し合うと良いでしょう。
どうしても払えない場合は税務署に相談を
預貯金や給料、そして車も差し押さえられると思うと、自動車税の滞納がとても怖いものだと感じるかもしれません。自動車の保有者に対して公平かつ平等な税負担をしてもらうために、自治体もこのような強硬手段を取らざるを得ないのです。
とはいえ、金銭的な事情でどうしてもお金が払えない場合は、税務署に相談すれば猶予してもらえたり、分割払いなどの支払い方法を認めてくれたりすることもあります。災害や盗難など督促状や催告書が届いている方は、税務署に相談すると良いでしょう。
その他のコラム
一社のみが債権者の場合でも任意整理は可能か?
その他(1)任意整理の手続方法 任意整理は、債務整理の方法の一つであり、他に個人再生と自己破産があります。 個人再生と自己破産は、裁判所に申立てて行う手続きです。この2つの手続きは、債権者平等の原則により、すべての債権者を対象にして手続きをとらなければなりません(破産法194条2項、同法265条、民事再生法229条1項、同法244条)。 一方、任意整理は、個別に債権者と交渉することになり、個人再生や自己破産のような債権者平等原...
個人融資掲示板等で借金することのリスク
その他個人融資掲示板という、個人間でお金の貸し借りをしたい人を募集する掲示板があります。SNSでも「個人間融資」のハッシュタグでお金を必要としている人と融資したい人がそれぞれ募集をかけているのを見かけます。 お金を貸す側の人たちは「審査なし」「在籍確認なし」「即日振込」をアピールし、融資先を募っています。今すぐお金が必要な人にとってこうした審査の甘い借入先は魅力に感じるかもしれません。 確かに個人融資掲示板や個人間融資自...
債務の時効援用とその手続きについて
債務整理一定期間返済していない借金は、時効によって帳消しできることがあります。ただし、必要な要件を満たし、なおかつ、「借金は時効により消滅した」と債権者に主張しなければなりません。これを時効の援用といいます。ここでは、時効の援用に必要な手続きについて説明します。 時効の援用には手続きが必要 時効の援用は、借金を一定期間返済しなかった人が、「時効を迎えたことで返済の必要はなくなった」と債権者に意思表示することです。 ...
債務整理後も住宅ローンは組めますか
債務整理任意整理や自己破産など、過去に債務履歴をした人は信用情報に掲載され、一定期間借金をしたりローンを組んだりできなくなります。しかし、結婚してあこがれのマイホームを購入したいとき、任意整理したことがあるのを理由にローンの審査を断られる事態があってはなりません。人生において最も高額な買い物である「マイホームの購入」を、過去の過ちが原因でできなくなってしまうのはあまりにも不公平です。 たとえ任意整理をした過去があっても、工夫次第...
破産申し立ての相談から終わりまでの流れ
債務整理自己破産を検討している方の中には、どこに相談したら良いのか、どのような流れで進めていけば良いのかわからず、気になっている人も少なくないでしょう。 手続きの流れを把握しておくと、今後のスケジュールも立てやすくなり、準備も進めやすくなります。そこで今回は、破産申立の相談から終わりまでの流れを詳しく解説していきます。 破産申立とは 自己破産の申立を行うには、居住している場所を管轄している地方裁判所に「破産申立書...

